抽象化
積み上げ型科目
「数学や理科は『積み上げ型科目』だから、一度理解に躓いてしまうと後々の単元も理解できない」といわれる。しかし工学についてはこの考え方は誤っている。むしろ、現象内部の難しさ・ややこしさをある単位(モジュール)の中に閉じ込めて、モジュールの間の関係を簡潔に記述できるようにする抽象化を積極的に行ってきたからだ。一度どこかで躓くと、たしかにそのモジュールの中のことはよくわからなくなってしまう。しかし他のモジュールや、一段外側にあるモジュールに戻れば、そのモジュール内部の無理解は一旦免罪されて、他のことを学ぶことができる。もちろん、現実には抽象化がうまくいかないことも多いし、「使う」と「理解する」にはまだ壁がある。
定量から定性へ
量はそのままでは頭の中で扱うのが難しい。量のとりうる変域をいくつかに分割して名前をつけると、なんというか、定性的な考え方に近い方法で扱えると思う。この名前の例を挙げる。「10^n オーダー」という言葉は、値が取る具体的な数字を取っ払って、大まかな大きさに分け直した。
あるいは量から質へと、注目する対象を変える。