一歩先への憲法入門
一歩先への憲法入門 第2版 有斐閣, 2021 明石市立図書館(西)
- 実質的意味の憲法=形式的な意味の憲法含め、国家のあり方を定める基本的な法
- 憲法附属法
- 憲法判例
- 憲法法源ともいう
- 権力分立の課題:政党・行政国家
- 行政府の長が与党に近い思想を持つ人を最高裁に指名するかもしれない
- 行政府の官僚は公選されていない
- 国民主権には2つの意味がある
- 正統性の契機:国家の権力を正当化する権威の源泉は国民にある
- 権力性の契機:国家のあり方=憲法を最終的に決定する権力が国民にある
- 憲法96条(改正手続き)
- このことを強調して国民を憲法制定権力ともいう
- 日本国憲法の成立
- 天皇主権(君主主権)から国民主権に、いつ移動したのか?
- 形式的には、明治憲法を改正して日本国憲法が成立した
- 上諭がある
- 八月革命説:明治憲法の改正規定によっても、君主主権を否定することはできない。よって日本国憲法との法的連続性はない。八月というのは、ポツダム宣言受諾を指す。この宣言は、日本に国民主権をつくることを要求していた。
- とはいえ、実際には主権は天皇からGHQに移っただけだった。審議過程(松本委員会)含めすべてGHQの承認を経ながら作られてきた。これは憲法自律性の原則に反する。
- 法的に説明をつけるために、国民が日本国憲法を改正・破棄せず使い続けてきたことをもって、憲法を事後的に・消極的に承認した、とみる。
- 硬性憲法
- ドイツでは、議会の特別多数の賛成
- フランスでは、議会で過半数の賛成+国民投票
- 日本では、両院2/3以上の賛成+国民投票
- 憲法96条、憲法改正手続法
- 憲法の改正はどこまで有効か?
- まず、以下の両方の説においても、国民主権そのものの変更は認められない。
- 無限界説:国民が決めた意見は尊重すべき
- 限界説:国民主権・基本的人権の尊重・平和主義は変更できない
- これら三大原理に手を加えると、それは日本国憲法ではなくなる
- なんで三大原理はダメなのか?
- ドイツでは、改正できない部分を明言している(戦う民主主義)。フランスでも、共和政体は改正の対象にならない。
- 日本にも「永久に」というフレーズが出てくるが、これを改正を禁じたものと解釈するのは無理がある
- また、過去の決定に束縛することになるので、国民主権の原理に反する
- 天皇
- 国家のシンボルには、国民の統合のための社会的・心理的な機能が期待されている
- 国家国旗法が最近までなかったのは、天皇で十分に統合機能が果たされていたから?
- 明治憲法下の皇室自立主義は否定され、皇室典範の改正にも国会の承認が必要
- 国事行為とも私的行為ともいえない公的行為(公務)についても、公人として内閣の助言の下行われるべきである
- 国家のシンボルには、国民の統合のための社会的・心理的な機能が期待されている
- 選挙
- 選挙においては、国民は公民団(有権者団)という機関として機能する
- 一票の格差
- 票の重み=投票価値の平等の判断基準はふたつ
- 一票の格差が1対2を越えていないか
- 合理的期間論:国会が格差是正のための努力をしたか
- 学説的には、格差は完全になくなるべきではある
- 票の重み=投票価値の平等の判断基準はふたつ
- 選挙方法
- 多数代表法:多数派の声をきく
- 小選挙区制
- 相対多数の一回勝負 vs 絶対多数の決選投票(2位3位連合)
- 死票が多い
- 比例代表法:多様な声をきく
- 分裂しやすい
- 少数代表法:日本の中選挙区
- 自民の派閥争いに使われたり、政党と支持したいのか個人を支持したいのかわからないので廃止
- 批判
- 比例復活は有権者の「こいつを落としたい」という意志を踏みにじる
- 選挙方法が似たりよったりで両院制の意味が薄い
- 多数代表法:多数派の声をきく
- 国会
- 会期不継続の原則:ある会期で議決に至らなかった場合、審議未了として廃案にする。国会法68条。
- 閉会中審査ができる(国会法47条・68条但し書き)
- 野党は会期切れを狙う
- 会期不継続の原則:ある会期で議決に至らなかった場合、審議未了として廃案にする。国会法68条。
- 裁判所
- 裁判所の独立:憲法77条1。裁判所の内部では自律しているが、国政調査権など、外部からの干渉には弱い。
- 裁判官の独立:憲法76条3。さらに78条によって、懲戒処分を制限している。
- 具体的な事件が起らなければ判断することができない(抽象的なもの、たとえば法律の合憲性などを考えるのは国会の役割)。
- 具体的な事件(具体的争訟)の要件
- 当事者間の権利・義務・法律関係にまつわる争いであること
- 法律を使えば最終的な解決がつくこと
- 板まんだら事件:敬虔民「お寺の本尊が本物じゃないだと!騙された!」…しかし本尊のありがたみについて裁判所は判断できないので却下
- 技術士試験判定事件:学問上の正誤に法律を使ってもしょうがないので却下
- 政治・経済・技術・学術についてもそう
- 具体的争訟以外のルート=客観訴訟もある。たとえば住民訴訟。
- 統治行為論:政治にまつわる問題は政治にまかせる(国会など)。権力分立の維持装置のひとつ。砂川事件(安保条約の有効性)・苫米地事件(解散の有効性)。
- ただチキりすぎだと批判されがち。最近は議会の自律性を守るためとか、具体的に適用の対象を示すようにしている。
- 部分社会の法理
- 内部でルールがある社会には外から口出ししない
- 学生課に資格単位を申請したが、取得日が入学前だったので却下された場合でも、訴えられない
- ただし、一般市民法秩序における法律関係に影響を与えない場合にかぎる
- 不動産の所有権とか
- 内部でルールがある社会には外から口出ししない
- 付随的違憲審査制:憲法についても、具体的争訟に伴って解釈・判断する。
- 憲法判断回避の準則:やたらめったら憲法判断をせず、できるだけ法令を生かすポジティブな解釈にする
- 合憲限定解釈:法令の違憲性を否定するような解釈
- 違憲審査基準は最高裁内部にあって、学説がそれを浮かび上がらせるのが重要…ってどういうこと?裁判所が隠してる?
- もし違憲判決が出たら…
- 有力なのは個別的効力説:当該事件についてのみ法令の適用をキャンセルする
- 対義語は一般的効力説
- 実際には法改正がなされたり、適用が停止されたりする
- 違憲であっても、事件そのものの行為は有効にすることがある
- 一票の格差
- 事情判決の法理
- 有力なのは個別的効力説:当該事件についてのみ法令の適用をキャンセルする
- 地方自治
- 憲法は地方自治を保障している(8章)
- 補完性の原理:地方でやれることはまず地方で
- 自治体の仕事は、法定受託事務(国の選挙管理とか)と自治事務(都市計画とか)に分かれる
- 自治体は国から干渉されず(団体自治)、住民のために動く(住民自治)
- 自治権=条例制定権(自主立法権)+自主財産権+自主行政権+自主財政権
- 国の議院内閣制とは違い、二元代表制
- ただし大統領制とは違って、不信任案などが存在するので議院内閣制の性格もある
- 戦争放棄
- 9条1項:戦争の放棄(実は不戦条約・国連憲章を、国連中心主義に基づいて取り込んでいるにすぎない)
- 9条2項:戦力の不保持・交戦権の否認(これは国際法のルールを大きく越える)
- 9条に法的効力はないとする政治的マニフェスト説もあることにはある
- 1項には、「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれ(戦争と武力行使)を放棄する」とある
- 国際紛争を解決する手段とは?
- 侵略のみ→戦争武力行使限定放棄・自衛戦力留保説。国際法にのっとった解釈。
- 侵略+自衛→戦争武力行使全面放棄・完全非武装説。
- 国際紛争を解決する手段とは?
- 戦争武力行使限定放棄・完全非武装説:通説。1項で自衛戦力留保説を採るが、あらためて2項で戦力の不保持を定めるので、自衛戦争もできない。
- しかし不戦条約を取り込んだという上記の解釈に立てば、1項でやはり自衛戦争含め禁止されていると考えるしかない。
- 国際法の用法では「〜の手段」は自衛は指さない。しかし別途国連憲章はそのような修飾をつけずに武力行使を禁止している? p125わからん…
- 戦争全面武力行使限定放棄・自衛戦力留保説。
- 国際法の用法では
- 「国際紛争を解決する手段」=侵略戦争であり、自衛戦争ではない
- 自衛隊の合憲性の根拠
- 国家固有の自衛権
- 憲法ではなく、日本が国家であることに基づく
- 国家固有の自衛権
- 自衛権
- 国連憲章は個別的自衛権と集団的自衛権を認めているが、日本政府は後者を行使しない態度を採っていた(過去形)
- 人権
- 基本的人権=自然権から発展した人権+国家がないと維持できない権利(選挙権・生存権など)
- 社会権?
- 分類
- 自由権:国家からの自由。表現の自由とか
- 国務請求権:国家による自由。生存権、教育を受ける権利、とか
- 参政権:国家への自由
- プラスアルファで13条包括的権利・14条平等原則
- 基本的人権を主張する相手
- 公権力に対して
- 社会的権力である私的団体=私人=企業・労働組合に対して
- 直接効力説:公権力に対して基本的人権を主張できるのと同様に、私人に対しても適用できる
- 私的自治の原則に反する
- 無効力説:私人には主張できない
- 個人の権利侵害が見過ごされる
- 間接効力説:憲法から直接主張することはできないが、過度な侵害に対しては憲法の精神にのっとった法令が基本的人権を保障している
- 民法1条・90条
- 三菱樹脂事件, 日産自動車事件
- 直接効力説:公権力に対して基本的人権を主張できるのと同様に、私人に対しても適用できる
- 基本的人権を保障する
- 法律による権利保障:もともと人権は君主から守るものであり、議会が保障していた
- 法律からの権利保障:しかしナチスや治安維持法から、人権は君主からも議会からも守らねばならないことがわかった。裁判所に任せるしかない。
- 違憲審査制:法律からの権利保障を実現する制度
- 公共の福祉
- 公共の福祉と人権の保障のバランスをとるための考え方が必要
- 二重の基準論:基本的人権を精神的自由・経済的自由に分ける。精神的自由を制限する立法には、より厳格に対応する。
- 民主主義を守るため
- 経済的自由の不当な制約は、精神的自由があるかぎり是正されうる
- 裁判所の審査能力
- 裁判所は経済に詳しくない
- 民主主義を守るため
- 内心の自由
- 憲法19条:思想・良心の自由
- 治安維持法による政治犯の反省
- しかし、思想・良心の自由は、その現れとしての外部的行為も含む
- 沈黙の自由
- (公権力による)内心の推知の禁止
- 過去の所属や、好みの作家を聞くことなど
- 三菱樹脂事件では、学生運動歴に嘘を書き本採用を拒否された人 vs 企業。この場合は、契約締結の自由があり、間接効力説により憲法の規定は適用されなかった
- 内心に反する行為の強制の禁止
- 良心的兵役拒否
- 裁判員への選任拒否
- 国歌起立斉唱事件
- 信仰の自由
- 憲法には、宗教団体のための記述がある
- 宗教戦争からウェストファリア条約への反省により、宗教的寛容という思想が定着
- 日本では、踏み絵とか国家神道とか
- 信仰の自由は、次の3つから成る
- 内心における信仰の自由
- 宗教的行為の自由
- 宗教的結社の自由
- 剣道実技拒否事件:エホバの信者が、剣道に参加せず留年・退学。最高裁は、代替措置などによって配慮すべきとした
- 当然、信仰・宗教的行為の自由も無制限に認められるわけではない
- 宗教的結社の自由が、20条で(一般的な)結社の自由(21条)と別に定められている
- 部分社会の法理に似た考え方として、宗教団体には内部自律権がある
- 教義の判断にまで踏み込まない
- 政教分離
- そもそも政治と宗教の関係は?
- 国教制
- 公認宗教制
- ドイツでは、カトリック・プロテスタント・ユダヤについて公認が与えられ、教会税や宗教教育が認められている
- 政教分離制
- 日本では、戦前は国家神道があった。これは信仰の自由に反するというより、軍国主義の宣伝に利用されたこと・国家が宗教を利用することの反省として政教分離が導入された(神道指令)。
- 政教分離制は、さらに次の二つのどちらかをとる
- 国家の非宗教性の原理:国家のあらゆる場面から宗教を追放する…寺社の文化財保護や宗教系学校の私学助成をも禁ずる
- 国家の宗教的中立性の原理:国家と関係を持ってもよいが、どの宗教とも平等に持つ
- 中立性と非宗教性は異なる
- 国家と宗教の関係をどこまで許容するか?
- 目的効果基準:行為の目的が宗教的意義を持ち、かつ行為の効果が宗教の助長や干渉であるとき、その行為は宗教的活動であり、憲法で禁止される
- 公有地を無償で使わせて違憲になるケース
- そもそも政治と宗教の関係は?
- 信仰の自由と政教分離
- この二つは相反するようなものにも思えるが…
- 政教分離の原則は、ある宗教を特別視しないことで、間接的に信教の自由を助けている
- やはり国家神道の反省がある
- 基本的人権=自然権から発展した人権+国家がないと維持できない権利(選挙権・生存権など)
- 表現の自由
- 精神的自由の代表格
- なぜ表現の自由は重要か?
- 自己実現を守るため…個人の人格形成
- 自己統治を守るため…民主政
- 真理の探求…「思想の自由市場」で、正しいアイデアが出るまで議論を続ける
- 社会の安定…ガス抜き装置として
- ということが言われてきたが、上の4つの理由には反論も多い
- 職業選択だって自己実現
- 萎縮効果論:表現の自由は脆いので、より強い保障が必要
- 萎縮効果は表現に独特なもの
- 表現する権利と別に、知る権利=表現を受け取る権利も重要
- 事前抑制は原則許されないが、裁判所が個別の具体的事件について事前差し止めを命じたことがある
- 行政権が禁止するのが検閲であり、例外なく禁止される
- 税関検査は思想内容の検査をしているわけではないので、検閲には当たらないと判断された
- うーん
- 家永訴訟:教科書検定制度は検閲か?
- 最高裁「検定に落ちたら一般の本として売ったらええやん、検閲にはならんね」
- 教科書を本屋で売れるか?
- フィルタリング
- 青少年に対しては、有害な情報の遮断が認められている(限定されたパターナリスティックな制約)
- 有害かどうかの判断は?
- 暴力的表現を見た子供が暴力を振るうようになるか?
- 「青少年保護」はそれっぽいので条例で多用されがち
- 表現の自由の規制
- 内容規制:表現の中身に着目する。
- 観点規制:特定の見解に着目する。過去の例でいえば軍国主義批判など。
- 主題規制:意見ではなく、題材に着目する。政治に関する発言を禁止する、など。一見中立に見えるが、多数派の見解が多数派である状態を維持する、というれっきとした規制。
- 内容規制は、他人の権利を侵害する場合には作られうる
- 煽動的表現(破防法4条)。生命や財産を守る(保護法益)。「機動隊を殲滅しよう」と演説して有罪になった。
- 名誉毀損的表現(刑法230条):人格を守る。批判的意見との違いがわかりづらいので、免責の条件が定められている。
- わいせつ表現(刑法175条):性道徳を維持するため…とはなっているが、前の二つに比べて抽象的で、表現の自由上問題がある
- ↑を正当化するために、カテゴリカルアプローチが導入された
- カテゴリカルアプローチ:↑の類の表現を価値の低い表現=自己統治などに役立たない表現として、保護の対象から外す。
- なんでこれが認められるの?
- カテゴリカルアプローチ:↑の類の表現を価値の低い表現=自己統治などに役立たない表現として、保護の対象から外す。
- ヘイトスピーチについては直接の記述はないが、名誉毀損・業務妨害で責任を認めたことがある
- 内容中立規制:内容には関係なく、美観や社会活動を阻害しないために敷く規制
- 内容規制:表現の中身に着目する。
- 知る権利・情報受領権
- 報道の自由には、取材の自由も含まれる
- 一般化すると、表現の自由には、その準備段階や周辺の行為も含まれる
- 外務省機密漏洩事件
- 記者が仲良しの官僚に書類の持ち出しを依頼した
- 守秘義務(国家公務員法100条)で禁止されているが、取材の自由との兼ね合いにより、その秘密が実質的な秘密であり、かつ取材の手段が社会的に相当であるものでなければ処罰されない、とした
- またジャーナリストを介さずとも直接国民が情報を得られるべき(政府情報開示請求権)なので、情報公開法ができた
- vs特定秘密保護法
- 集会・結社の自由
- 集会には、デモ活動など表現色の強いものもあれば、親睦会などそうでもないものもあるので、表現の自由とは別途保護される
- 集会の自由の準備段階には、場所を確保することがある
- 集会に使うことが想定されていない公園などでは、申請を蹴ることができる
- 集会に使う想定の公共施設では、正当な理由がない限り申請を蹴ることはできない
- 泉佐野市民会館事件
- 結社は、多数の人が共通の目的を達成するために合意によって組織する継続的な団体
- 利益分配を目的としない非営利団体
- 家族や営利団体は結社ではない
- 結社の自由の2つの側面
- 個人の自由…入るのも出るのも作るのも自由
- 団体の自由…団体自治権。一般社団法人制度は、結社に法人格を与えて、団体の自由を促進しているといえる
- 職業選択の自由
- 経済的自由のひとつ
- 消極国家・レッセフェールにより資本主義が発展したが、格差が拡大
- 経済的自由を制限する社会主義国家が誕生し、消極国家も福祉国家に移行(ワイマール憲法151条)。
- 広義の職業選択の自由を分けると…
- 狭義の職業選択の自由:職業を選ぶこと
- 職業活動の自由:働き方を自分で決めること
- 職業規制
- 全面禁止…管理売春
- 国家独占…貨幣の発行
- 公企業特許…インフラ
- 免許・資格…薬剤師とか
- 営業許可制…パチンコとか
- 営業活動への規制…独占禁止法、風営法
- 憲法22条1項では、「公共の福祉に反しない限り」と明記されている
- 他の自由についてはそのような記述がないのに、なんで?
- 具体的には、経済的自由権に対してのみ設定されている。これは福祉国家の思想を反映していて、二重の基準論とも整合する。
- 他の自由についてはそのような記述がないのに、なんで?
- 規制目的二分論:規制を二つに分けて、それぞれについて考える
- 積極目的規制:経済政策・福祉政策の一部であるものについては、非合理性が明白であるときのみ違憲になる…独占禁止法など
- 消極目的規制:安全確保などのために、消極的に設定されたものについては、規制が必要かどうかより詳しく判断する…営業許可など
- 経済的自由のひとつ
- 財産権
- 憲法29条
- 財産そのものではなく、財産権、つまりその財産を管理する権利を法制度で保護している
- 29条1項は財産権の不可侵を述べて、29条2項は財産権を法律で定義するとしている
- わざわざ2項に分ける必要なくね?
- 1項は法律でも変えられない何かを保障している
- 1項の財産権には、財産制度そのものが含まれる(2項があるからといって好き勝手に法律をいじってはいけない)
- 民法は単独所有(私有)を原則としているが、共同所有(共有)についても定められている
- そのうちの一つに共有物分割請求権があるが、グリッドロックを防ぐために、森林法はかつてこれを否定していた。
- 財産権・財産制度の他に、財産の価値も保障する(3項)
- 公用収用のときには補償をする
- 特定の個人の犠牲のもとに、公共が利益を得るものであり、侵害が著しい場合にのみ与える
- 公用収用のときには補償をする
- 刑事手続
- 31条〜40条と多め
- 刑罰権
- 国家による暴力の独占=私刑の禁止
- 恣意的な行使は即座に人権侵害となる
- 人身の自由
- 経済的自由・精神的自由の大前提
- 31条が要求するもの
- 法定手続の保障
- 手続の中身がまともであること(手続の適正)
- 告知と聴聞を受ける権利
- 刑罰法規(実体)の法定
- 刑罰法規(実体)の適正
- 罪刑法定主義は、次の要請から導かれる
- 民主主義の要請
- 自由主義の要請:事前に法の形で刑罰権の行使を予告することで、自由を守ることになる(告知機能)
- 実体の適正
- 罪刑均衡の原則
- 刑罰法規の明確性:告知機能を発揮するため
- むずかしい文言でも、一応一般人が理解できるようにしましょう、という建前
- 事後法の禁止
- 一事不再理・二重処罰の禁止
- 拷問の禁止
- 「絶対に」で有名なやつ
- 手続き上の権利
- 令状主義:裁判官が発した令状(理由を告知する)により逮捕される
- 公平で迅速な公開裁判を受ける権利
- 弁護人依頼権、証人審問権、自白排除の法則、補強証拠の法則(自白のみでは有罪にできない)
- 社会権
- 自由権とは異なり、国家の介入を要請する権利
- 生存権
- 実現手段
- 民主主義ルート:生存に苦しい人が民主政で働きかけられるか?
- 司法ルート:具体的な事件に対応できるが、政策立案能力はない
- どこからかは司法がすくいあげる
- 25条の解釈
- プログラム規定説:政治的(民主政の)目標として捉える
- 結局努力目標とするのなら、「権利」にする意味がないのでは
- 具体的権利説:裁判を通じて、国会に法律を作らせるための根拠になるものと捉える
- 立法不作為の違憲確認訴訟というが、これが違憲審査の範囲にあるかは疑問
- 抽象的権利説:具体的な事件では使えないが、立法府の裁量を逸脱した場合のガードレールとして捉える
- 朝日訴訟にて、「現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど」することは「裁量権の限界をこえた場合または裁量権を濫用した場合」は司法審査の対象になるとした
- まあ、その基準が低すぎんかという話だが…
- 朝日訴訟にて、「現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど」することは「裁量権の限界をこえた場合または裁量権を濫用した場合」は司法審査の対象になるとした
- プログラム規定説:政治的(民主政の)目標として捉える
- 社会保障制度
- 社会保険:年金、介護、医療保険
- 社会福祉:児童福祉
- 保健医療・公衆衛生
- 公的扶助:生活保護
- 実現手段
- 教育を受ける権利
- 親の教育をする(を選ぶ)権利は、あくまで子の教育を受ける権利に従属する
- 教育制度法定主義
- 義務教育の無償
- 授業料無償説:いまはこれ
- 就学必需費無償説:通学費や給食代も無料にする
- 教育の裁量
- 国家教育権説 vs 国民教育権説
- 教育内容を決定する権利が国家にあるか、国民(先生)にあるか
- 折衷した判決
- 国家教育権説 vs 国民教育権説
- 労働
- 雇用の自由:誰をどの条件で雇うかは自由。私的自治の原則から。
- もちろん、労働基準法などはある
- ユニオン・ショップ協定
- 争議行為(団体行動権の行使=ストライキとか)には、刑事免責・民事免責(解雇や賠償請求はできない)が適用される
- 雇用の自由:誰をどの条件で雇うかは自由。私的自治の原則から。
- 平等
- 形式的平等=機会の平等
- 身分制の廃止
- 実質的平等=結果の平等
- 累進課税
- 法の下の平等
- 法適用の平等:恣意的に適用しない
- 法内容の平等
- 相対的平等が採られている
- 合理的区別を禁止するのが絶対的平等
- 小樽温泉訴訟:外国人に見えるだけで入湯を拒むのは人種差別
- 社会的身分:社会において継続的に占めている地位
- 大人と子供で料金を分けることは差別にはならない
- 「継続的に」子供であることはできない
- 大人と子供で料金を分けることは差別にはならない
- 憲法は公権力を縛るものであるので直接私人には適用しにくいが、民法90条などに差別禁止規定がある
- 国家賠償請求訴訟は、立法行為(不作為)が違法であるかを問う
- 法そのものが違法であっても、不作為があったかどうかは別の話
- 形式的平等=機会の平等
- 自己決定
- 個人の尊重(13条)
- 幸福追求権(13条)
- 自分らしく生きる権利であり、人権の源泉
- まだ憲法に規定のない権利もこれから導き出せる
- 包括的権利
- 解釈改憲?
- 幸福になるためには自分のことを自分で決めたいので、自己決定権が導かれる
- 自己決定権の範囲はどこまで?
- 危害原理:他人に危害を加えない限りにおいて自由が認められる
- 一般的自由説:危害原理に反しない限り全部
- 人格的利益説:人格にかかわる重要な事項のみ
- 医療関連
- 中絶→母体保護法
- 積極的・消極的安楽死
- インフォームド・コンセント
- パターナリズムによる制約
- プライバシー権
- 要件
- 私生活に関連すること
- 公開を望まないこと
- 非周知であること
- 要件
- 自己情報コントロール権
- 外からのアクセスを拒む自由権+削除してもらう請求権(忘れられる権利)
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