株式会社は見た目によらず

高校生起業家を名乗る戸田英志氏が代表を務める株式会社ブリス / BLISSのWebサイト制作受注事業で、サンプルとして公開されているページが完全オリジナルではなくWebサイト作成サービスのStrikingly製だった、というツイートを見た。 調べてみると、戸田氏個人のサイトもその企業のサイトもStrikingly製。他のサンプルを見るとBASEも使われている。

Strikinglyすごい。というよりもwix.comがダメなだけなのか。

ついでに戸田氏個人のwebサイトやTwitterを見てみた。内容がドヤバイ。

これは戸田氏の略歴。一番上が新しいのかな?つよそう(小並)。

TV密着取材を受ける。

日本初! LINEで簡単に申し込める ホームページ制作サイト設立。

株式会社BLISS ICO業界参入。

ICO業界にて若き天才マイナーと 称される。

日本人史上最年少でICO業界に参入。

日本アカデミー協会様から 講演会オファーを受ける。

株式会社BLISS 執行役員社長に就任。

株式会社BLISS 5事業展開開始。

10代カリスマ起業家influencerに任命。

15歳にて株式会社BLISS設立。

ICOというのは暗号通貨投資関連のもの。詳しく調べてはいない。Universaはどっかで聞いたような聞いてないような。

BLISSのブログもいろんな意味でおもしろい。戸田氏本人が書いているのだろうか。 なんか強面のおじさんと写真撮ってたりしてすごい。自分もそんな勇気がほしい。

しかし、ページを辿るうちにところどころリンクが切れていたり、BLISSのTwitterアカウントが鍵になっていたり不安になってきた(鍵アカウントはフォロリクを送ると承認された)。

Strikingly使って大丈夫?

サービスの話に戻るが、そもそもStrikinglyでページを作成してBLISSのものとして販売するのは大丈夫なのだろうか。気になったのでいろいろなところにメールを送った。

結果から述べるとそれは杞憂で、販売はOKだった。一安心。

ここから下では詳細を記録しておく。

とりあえずStrikinglyの利用規約を読むとサービスの無許可での再販は禁止されている。事業内容を見る限り再販にあたると思えるのだが…

Strikingly に聞いてみる

そこでStrikinglyに英語でメールを送ってみることにした。大体以下のような内容。

I found the company “BLISS Inc.” which has headquarters in Tokyo, Japan: http://bliss-production.strikingly.com/

In their service “BLISS DESIGN” (http://blissdesign.strikingly.com/), they create pages using Strikingly and resell the pages to their customers.
This service violates “16. RESALE OF SERVICE” of your ToS, I think.

You should contact the company by sending DM to Facebook account of representative for “BLISS inc.”: https://www.facebook.com/eishitodabliss

そして返答。

Hi, Seioo!

Thank you for reporting this to us. However, I checked the site and found out that it is not violating anything on our Terms and Condition. This is because what they’re selling is not our services.

利用規約の侵害はないらしい。だがやはり腑に落ちなかったのでもう一度メールを送ってみることにした。画像も添付して、ページの日本語を英語に訳したりした。

Hi, Happiness Officer

Needless to say, your decision should be respected, but it seems that there is a lack of information since I am not used to writing e-mails.

On the “BLISS DESIGN”’s page (I’ve attached the screenshot), some sample websites are provided and here’s one: http://todaeishi.strikingly.com/

In addition they say “サイトに様々な機能が埋め込み可能で、非常にクオリティーの高いサイトを制作可能です。
動画の埋め込みやソーシャルメディアの埋め込み等も出来るので、非常に本格的です。”.
It means below in English: “We can provide you high-quality websites by embedding various features/medias such as videos and SNS buttons.”

They are getting money by making pages, using Strikingly instead of their customers themselves.
Or am I wrong? It doesn’t violate your ToS, really?

返信が来る。

Hello, Seioo!

That’s correct, it doesn’t violate any of our Terms and Conditions.

ううーん、伝わらなかったのか?

ちなみに某氏もメールを送ったが、「テンプレートを販売しているだけ」だとStrikingly側に勘違いされ、規約違反とはみなされなかったようだ。

I checked the site you are refferring to and saw that they are selling a customized template that they designed. This means, that the site is not re-selling Strikingly services. :)

株式会社BLISSに聞いてみる

事業内容を自分が勘違いしているのかもしれない。一度BLISSサイドに聞いてみることにした。

株式会社BLISS 執行役員社長 戸田英志様

こんばんは。井上と申します。
急ではありますが、御社の BLISS DESIGN 事業についてお伺いしたいことがありご連絡させていただきました。

BLISS DESIGN のページを拝見したところ、サンプルサイトとして http://todaeishi.strikingly.com/ が掲載されているのを見つけました。
ページ下方やドメイン名を見るに、このページは Strikingly を用いて制作されているようです。

そこで、仮に私がホームページ制作を御社に依頼した場合も、サンプルサイト同様御社が Strikingly を利用してホームページを制作し、それに対して私が19800円 + 1080円/月を支払うということになるのでしょうか?

回答よろしくお願いします。

4分で戸田氏から返信がきた。流石だ。✨が添えられているのが特徴的。

わざわざメッセージありがとうございます。
その様になります。
宜しくお願い致します✨

勘違いはなさそうなので、利用規約に踏み込んでみる。

井上です。

なるほど、ありがとうございます。
その場合、もう一点お聞きしたいことがございます。

Strikingly の利用規約 (https://support.strikingly.com/hc/en-us/articles/214364828) には以下のような内容があります。

  1. RESALE OF SERVICE
    You agree not to reproduce, duplicate, copy, sell, resell or exploit any portion of the Service without our express written permission.

(概訳: 16. サービスの転売
サービス利用者は明確な書面での許可なしに、サービスの再現、複製、コピー、販売、再販、不当な利用を行ってはなりません)

御社の「 Strikingly を用いてページを作成し、顧客に販売する」行為は上記規約で禁止された「再販行為」にあたるものではないでしょうか。もしくは Strikingly からの許可を受けているのでしょうか。

繰り返しすみませんが、回答よろしくお願いします。

2時間ほどして返信が。

現在交渉中です。
交渉が成立すれば月額千円を取る予定です。
交渉が成立しなかった場合は月額千円も無しとなります。

Strikinglyと「現在交渉中」なのにサービスを公開して大丈夫なのかと再び心配に。 交渉成立で月額千円を取る、という意味はよくわからない。交渉に失敗すれば当然サービスは終了することになると思うのだが…そもそもStrikinglyとの交渉を指しているわけではないのかもしれない。

日本語で再度聞いてみる

高校生に真夜中にメールを送るのも気が引けたので(?)、Strikinglyにもう一度聞いてみることにした。利用規約が英語版しかなかったので回答が来るか不明だったが、今度は自分の母語である日本語で送ってみる。

株式会社ブリス (http://bliss-production.strikingly.com/) の「BLISS DESIGN」 事業 (http://blissdesign.strikingly.com/) は Strikingly 利用規約の「16. RESALE OF SERVICE」の内容に違反していると思われます。
具体的に申しますと、「BLISS DESIGN」事業は Strikingly にてページを作成し、それらを「株式会社ブリスが制作したものとして」顧客に販売しています。これは上記規約で禁止された再販行為にあたるものではないでしょうか。
株式会社ブリスの代表である戸田氏 (todaeishi.business@gmail.com) に連絡を取ったところ、 Strikingly 側と現在交渉中である旨の返答を受け取りました。そのような事実はありますでしょうか?

交渉中であるにもかかわらずすでに販売を行っているという点に矛盾を感じたためご連絡させていただきました。

回答が来た。おお。

Inoue 様
お問い合わせありがとうございました。

当社ではリセラープランを提供しております。
当社のサイトを利用してお客様にホームページを提供できるプランとなっており、当社のサイトを利用してお客様にホームページ制作サービスを提供いただくことは了承しております。
https://support.strikingly.com/hc/ja/articles/215046747

ご報告いただいたホームページを念のため上司にも確認してみましたが問題ないということです。

自分の英語は伝わっていなかった。リセラープランを利用した再販行為は認められているようだ。

ということで利用規約への違反は単なる杞憂だった。めでたしめでたし。

補足

初めて見た時は正直「Strikinglyでホームページ作成とか(笑)、それでも企業かよ」という感想を抱いてしまった。

が、Strikingly使わずにHTML, CSS, JavaScriptゴリゴリ書いていればエライのかといえばそうではなくて、結局下のレイヤでnginxなりTCP/IPなり使っている時点で巨人の肩に乗っているという点で同じだと気づいた。

プログラムを書くようになるとStrikinglyのようなイージーな解決策を軽蔑してしまうようになるのかもしれない(=マウント?)。しかし、顧客は製品だけを見て判断するので、別にラクできるところはラクしてコンテンツのサポートなどに力点を置くのもアリだと思う。

ところで、自分は高校生という若さ(それが本当に若いのかどうかは別として)を推していく行為と、若さだけで持て囃されるような風潮が理解できなくてあんまり好きではない。それによって反抗心が妙にくすぐられたので批判的な先入観を持ってしまった。反省。

プロフィールに「ネスペ最年少〜w」と載せているが、これも周りの大人にアピールポイントになるよと言われたのでとりあえず書いているだけ。どっちがいいのかはよくわからない…こういう矛盾した態度が良くないのはわかっているのだが。

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